嫌われる勇気を持とう

自由とは他者から嫌われることである。(「嫌われる勇気」岸見一郎著)

この本はアルフレッド・アドラーの思想(心理学)を紹介しています。アドラーは、フロイト、ユングと並んで心理学の三大巨頭と称されています。著者によると、アドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、シンプルな答えを提示しているとのことです。

以下が私なりにまとめたこの本の要点になります。

「アドラー心理学は過去に目を向けません、トラウマを否定します。過去に住み、過去に生き続ける限り、一歩も前に進むことはできません。トラウマの議論に代表されるのは、フロイトの原因論であり、決定論です。フロイトの視点は過去に向いています。しかし、アドラーは人生は過去の経験によって決定されるのではなく、過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって自ら決定するものである、と主張します。

過去に縛られたままであるなら、人は幸せになることはできないでしょう。アドラーは、「あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではない、ましてや能力が足りないからでもない、変わる勇気が足りていないからだ。これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについて何の影響もない」と言います。アドラー心理学は、自分が変わるための心理学です。

アドラーは他者からの承認を求めることを否定します。他者の期待に応え、他者の期待を満たすために生きてはいけない、ということです。それでは自由になれません。他者も私の期待を満たすために生きているのではないことを認識することも大切です。他者の課題と自分の課題を分離していく必要があります。あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることです。ですから、他者の課題には介入しないし、自分の課題には介入させません。誰からも嫌われたくないので、他者から認められることばかりを考えた不自由な生き方をするか、たとえ他者から認められず嫌われようと、勇気を出して自由な生き方をするか、二つの選択肢が私たちの前にはあります。

アルフレッド・アドラー(1870年- 1937年)

結論的な文章が最初に書いた文章になります。「自由とは他者から嫌われることである」 少し過激な文章かもしれませんが、他者の評価を気にせず、他者から嫌われてしまうことを怖れない、という生き方を選び取らない限り、自分の生き方を貫き通すことはできないでしょう。つまり、自由になれません。自分の生き方を貫き通すことが幸せな生き方につながっていきます。

自分の課題と他人の課題を分離することは、対人関係の出発点になります。では対人関係のゴールはどこにあるのでしょうか。ゴールは、他者を仲間と見なし、そこに自分の居場所があると感じられる共同体感覚にあります。

共同体感覚のことを、英語では「social interest」(社会への関心)と言います。社会学が語る社会の最小単位は、「私とあなた」です。二人の人間がいれば、そこに社会が生まれ、共同体が生まれます。これを起点にして、自己への執着を、他者への関心へと切り替えていくことが重要です。私たちは、共同体の一員であり、全体の一部です。この人は私に何を与えてくれるのかではなく、私はこの人に何を与えられるかを考えなければなりません。それが共同体へのコミットです。何かを与えてこそ、自らの居場所を得ることができます。関係が壊れることだけを怖れて生きるのは、他者のために生きる不自由な生き方なので、幸せになるために共同体感覚を持ちながら自由に生きる道を選びましょう。幸福とは、貢献感です。しかし、承認欲求を通じて得られた貢献感には幸せと自由はありません。自分の自由意志で動いて、誰かの役に立てているという主観的な感覚、つまり貢献感があれば、幸せになれます。

過去に生きるのではなく、「今、ここ」だけを真剣に生きましょう。フロイト的な原因論に立ってしまうと、過去から続いてきた今を生きてしまいます。アドラーは、そうではなく、過去にどんなことがあったとしても「今、ここ」には何の関係もないと言います。これから先の人生は、全くの白紙であり、進むべきレールが敷かれているわけでもありません。他者に貢献しようと生きるなら、嫌われる人には嫌われてもよいではないか。自由は他者から嫌われることで得られ、自由を得ることによって幸せになれます。」

読んで感じたことはアドラー心理学はとても実践的であるということです。自分の生活にすぐに適用することができます。現代人の悩みはいろいろあると思います。他者に嫌われないようにするのに一生懸命で毎日疲れてしまうケース、過去に縛られてしまって未来に希望を持てないケース、自分のことばかりしか考えていないので共同体に属することができないケースなど。

ケネディー大統領は就任演説でこのように言いました。「国に何かをしてもらうことを考えるのではなく、自分が国のために何ができるかを尋ねてください。」 共同体は2人から発生しますが、家族、友人、学校、職場、教会、サークル、町、地域、都道府県、国、アジア、世界というように、より大きな共同体があります。

誰も他者から嫌われたくないと思います。でも他者から嫌われないようにすることだけを気にしていたら、自由を失ってしまいます。アドラー心理学は、私たちに自由への道を提示してくれています。決して他者から嫌われることを勧めているわけではありません。ただ他者が自分らしく生きる幸せと自分が願う生き方(自由への道)を阻むなら、アドラーはそれなら他者から嫌われたっていいじゃないかと、私たちに勧めています。更に先の道をも示してくれています。それが共同体感覚です。他者のために生きるという道です。

本書を通して二つのことを教えられます。

①まず自分の課題を他者の課題と分離して、自立すること。他者の人生を生きるのではなく、自分自身の人生を生きること。

②自由の名の元に、ただ自己中心に生きるのではなく、共同体に属して他者のために生きること。

コロナウイルスのせいもあると思いますが、生きにくい現代社会です。芸能人の自殺も続いています。嫌われる勇気を持つことによって、解決へと導かれることがあるのではないでしょうか。他者からの期待という束縛から解放されること、共同体に属して何でも相談できる環境に自分の身を置くこと。この二つを実践することで、随分と心が軽くなるのではないでしょうか。

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投稿者:canaan

首都圏で10年間牧師をしていましたが、現在は地方のキリスト教会で牧師をしています。旅行会社と農場の経営もしています。私自身が様々なことばで力づけられてきたので、希望に満ちたことばをお伝えしたいと願っています。I used to be a pastor in the metropolitan area for 10 years, but now I am a pastor at a local Christian church. Also I run a travel company and farm. I myself have been empowered by various words, so I would like to convey the hopeful words. 

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