エデンの園

エデンの園は「歓喜」を意味します。神の歓喜の中心は人間でした。神が創造のわざをするたびに、繰り返し「良し」と仰せられましたが、人間を創造された後だけ「非常に良かった」と大喜びをしたのです。だから、人間が住む場所を歓喜を意味する「エデン」と名づけ、そこに人を置かれたのでしょう。聖書にはこのように記されています。

ルーカス・クラナッハ作：ルネサンス期のドイツの画家。

8 神である主は東の方エデンに園を設け、そこに主の形造った人を置かれた。9 神である主は、その土地から、見るからに好ましく食べるのに良いすべての木を生えさせた。園の中央には、いのちの木、それから善悪の知識の木を生えさせた。10 一つの川が、この園を潤すため、エデンから出ており、そこから分かれて、四つの源となっていた。11 第一のものの名はピション。それはハビラの全土を巡って流れる。そこには金があった。12 その地の金は、良質で、また、そこにはベドラハとしまめのうもあった。13 第二の川の名はギホン。それはクシュの全土を巡って流れる。14 第三の川の名はティグリス。それはアシュルの東を流れる。第四の川、それはユーフラテスである。（新改訳聖書　創世記2:8-14）

エデンの園の中央には、いのちの木と善悪の知識の木が生えていました。いのちの木は、取って食べると肉体的に死ななくなる木です。神が罪を犯した人間アダムとエバにこのように言われました。「今、彼が、手を伸ばし、いのちの木からも取って食べ、永遠に生きないように。」（創世記3:22）。善悪の知識の木は、取って食べると死ぬ木です。「それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」（創世記2:17）　

新天新地にもいのちの木があります。聖書の一番最後の書物であるヨハネの黙示録に書かれています。御使いはまた、私に水晶のように光るいのちの水の川を見せた。それは神と小羊との御座から出て、都の大通りの中央を流れていた。川の両岸には、いのちの木があって、十二種の実がなり、毎月、実ができた。また、その木の葉は諸国の民をいやした（黙示録22:1-2）。エデンの園にある源泉としての「一つの川」が、園全体をうるおすために四つの川となって流れ出ていますが、この「一つの川」はヨハネの黙示録22章1節では、新しい天と新しい地における神の御座から流れ出るいのちの水の「川」となります。聖書の最初の創世記と最後の黙示録が一つの線でつながっていることを確認することができます。

エラストゥス・ソールズベリー・フィールド作：アメリカの画家で写真家。

エデンはメソポタミア地方にありました。現在のイラクであると言われています。エデンには歓喜の他に「隅々までよく潤された所」という意味もあります。ピションは「湧き出る」という意味です。ギホンは「吹き出す」、ティグリスは「急流」、ユーフラテスは「甘美」を意味します。この四つの川は名前が示すように、人間に対する神からの溢れるばかりの祝福と供給でした。

今では失われてしまったエデンの園は、千年王国で回復します。旧約聖書のエゼキエル書47章に回復の預言がなされています。9 この川が流れて行く所はどこででも、そこに群がるあらゆる生物は生き、非常に多くの魚がいるようになる。この水が入ると、そこの水が良くなるからである。この川が入る所では、すべてのものが生きる。12 川のほとり、その両岸には、あらゆる果樹が生長し、その葉も枯れず、実も絶えることがなく、毎月、新しい実をつける。その水が聖所から流れ出ているからである。その実は食物となり、その葉は薬となる。

イエス・キリストは「いのちの水」です。彼は井戸の水を汲んでいたサマリヤの女に言われました。「この水を飲む者はだれでも、また渇きます。しかし、わたしが与える水を飲む者はだれでも、決して渇くことがありません。わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠のいのちへの水がわき出ます。」（ヨハネの福音書4:13,14）

またこのようにも言われました。「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる。」これは、イエスを信じる者が後になってから受ける御霊のことを言われたのである。（ヨハネの福音書7:37-39）

聖書の主人公であるイエス・キリストが「いのちの水」であるのは興味深いことです。エデンの園の川と新天新地の川をつなぐものとして、また中心点として、いのちの水であるイエス・キリストが存在するのです。イエスは私たちに永遠のいのちを与えてくださいます。