「私が今夜ここへ来たのは、お前さんには、まだ私のような運命から逃れるチャンスと希望があるということを知らせるためなのだ。」(チャールズ・ディケンズ著「クリスマス・カロル」)
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの「クリスマス・カロル」はクリスマスに読まれる本としてとても有名です。
クリスマスの前夜、すなわちクリスマスイブの日に、主人公スクルージは忙しく働いていました。そこに7年前に死んだ共同経営者マーレイの幽霊が彼の前に現れたのです。彼はこの後、3人の幽霊が来ることを伝えます。
第一の幽霊が来ました。彼は過去の幽霊でした。主人公スクルージの過去の幽霊だと言うのです。そして彼の過去を見せ、夢を持っていた少年時代、金銭欲にまみれる前のまだ純粋な心を持っていた青年時代を思い出させます。
次に来たのは、彼の現在の幽霊です。今の現実を見せられます。そして、最後に来たのが未来の幽霊です。スクルージは、評判の非常に悪い男が死んだという話を聞きますが、未来のクリスマスには自分の姿がありません。荒れ果てた墓場にある墓碑銘に自らの名をスクルージは見つけ、激しい衝撃に襲われます。クリスマスの始まる夜明けと共に、彼が経験した悪夢のような未来が、まだ変えることができる可能性があることを知ります。そして改心し、残された時間を有意義に過ごすというお話です。
チャールズ・ディケンズ(1812年~1870年)
この物語は聖書に書かれているイエスの話を思い出させてくれます。19 ある金持ちがいた。いつも紫色の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。20 ところが、その門前にラザロという全身おできの貧しい人が寝ていて、21 金持ちの食卓から落ちる物で腹を満たしたいと思っていた。犬もやって来ては、彼のおできをなめていた。22 さて、この貧しい人は死んで、御使いたちによってアブラハムのふところに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。23 その金持ちは、ハデスで苦しみながら目を上げると、アブラハムが、はるかかなたに見えた。しかも、そのふところにラザロが見えた。24 彼は叫んで言った。『父アブラハムさま。私をあわれんでください。ラザロが指先に水を浸して私の舌を冷やすように、ラザロをよこしてください。私はこの炎の中で、苦しくてたまりません。』25 アブラハムは言った。『子よ。思い出してみなさい。おまえは生きている間、良い物を受け、ラザロは生きている間、悪い物を受けていました。しかし、今ここで彼は慰められ、おまえは苦しみもだえているのです。26 そればかりでなく、私たちとおまえたちの間には、大きな淵があります。ここからそちらへ渡ろうとしても、渡れないし、そこからこちらへ越えてくることもできないのです。』27 彼は言った。『父よ。ではお願いです。ラザロを私の父の家に送ってください。28 私には兄弟が五人ありますが、彼らまでこんな苦しみの場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください。』29 しかしアブラハムは言った。『彼らには、モーセと預言者があります。その言うことを聞くべきです。』30 彼は言った。『いいえ、父アブラハム。もし、だれかが死んだ者の中から彼らのところに行ってやったら、彼らは悔い改めるに違いありません。』31 アブラハムは彼に言った。『もしモーセと預言者との教えに耳を傾けないのなら、たといだれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない。』」(ルカの福音書16章19~31節)
地獄(ハデス)に行ってしまった金持ちが、自分の兄弟たちがこんな苦しみの場所へ来ないように、天国にいるラザロを彼らの所へ送ってくださいとアブラハムにお願いします。
聖書にこのように書かれています。罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。(ローマ人への手紙6章23節)
私たちも未来へ行く場所をイエス・キリストを通して変えることができます。死からいのちへ移されます。神は私たちの未来が変えられるためにイエス・キリストを送ってくださったのです。それがクリスマスの本当の意味です。
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