明日、北海道後志管内の寿都町で町長選挙があります。核ゴミの受け入れを巡っての争いになります。寿都町民の良識が問われる選挙です。「今、金、自分」を優先させるのか、「将来、自然、北海道」を優先させるかの選挙です。2011年3月11日の原発事故後から10年に渡り、東電と政府、主要メディアを通して嘘と隠蔽が続けられていることに気づき、正しい情報を得れば、自ずとどうすればよいかの判断ができるはずです。
日本ではチェルノブイリ原発に関してはソ連の体質を批判して多くの正しい情報を流したのに対して、いざ福島で原発事故が起きたら徹底的に情報を隠蔽しました。今でも事故から30年以上も経つのにチェルノブイリ原発から30キロ圏内は立ち入り禁止になっています。あの隠蔽体質があったソ連でさえも、住民の強制避難、汚染地域の立ち入り禁止を徹底していました。それに対して日本は福島原発事故をなるべき小さく見せようとし、住民を帰宅させるなど、旧ソ連とは全く逆の対応をしています。日本は原発事故に対して共産主義のソ連以下の対応をしたということです。ソ連以上にいのちを軽視したと言っても過言ではありません。決して許されることではありません。
2015年にノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシェービッチが書いた本「チェルノブイリの祈り」を読むと、原発事故の真実が見えてきます。この本は、ドキュメンタリー文学の最高傑作と評されています。
2011年の東京電力福島原発事故直後は情報を非公開とし、国民が知るべき情報を隠蔽し、この10年間では規制値を大幅に緩和しているのです。できるだけ被害を小さく見せるための検査、情報発信がなされ続けています。不都合な真実は隠され、報道されていません。テレビと新聞が主な情報源の人は真実にたどりつくことはできないでしょう。一番の被害者は福島県民です。年間線量限度20ミリシーベルトという非常識に高い線量を強いられているので、残念ながら健康被害は避けられないでしょう。チェルノブイリ事故では、年間線量5ミリシーベルトで強制避難となっています。あの旧ソ連でさえそのような措置を取ったのに、日本は逆の行動を取り、復興というきれいな言葉を使って、健康被害が出る汚染地に県民を帰還させようとしているのです。原発の事故で分かったことは、この国はいざという時は「国民のいのち」を守らないということです。そして大事なのは、国民のいのちと健康よりも、お金と利権であるということがはっきりしました。自分と家族の健康といのちは自分たちで守らなければなりません。政府とメディアの情報を鵜吞みにするならトンデモナイことになるのです。的確な情報収集と洞察力が本当に必要です。
原発はコストが安く、自然に優しいと原発を再稼働したい人たちは言っていますが、使用済み燃料棒の処理や廃炉費までを含めると、その話は破綻しているのは明らかです。風評被害という言葉だけが伝えられ、実被害(内部被曝の実態や健康被害)は一切報道されていません。
今、問題となっているのは、東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けている放射性物質トリチウムを含む処理水をどうするかということです。国と東電は2022年に海洋放出しようとしています。このトリチウムに関して北海道ガンセンター名誉委員長の西尾正道医師(放射線治療医)が書いています。「トリチウムの問題は単に経済的な問題であるだけでなく、人類への緩慢な殺人行為であり、晩発性の健康被害をもたらす実害となる問題であることを国民は認識するべきである。」、「問題なのは、原子力発電では事故を起こさなくても稼働させるだけで、原子炉内の二重水素が中性子捕獲によりトリチウム水が生成され、膨大なトリチウムを生み出すことである。」、「世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では、たとえ事故を起こしていなくても、稼働させているだけで周辺住民の子どもたちを中心にした健康被害が報告されている。その原因の一つはトリチウム(若いほどトリチウムの影響は強くなる)と考えられる。」、「原発からの距離が近いほど大気中トリチウム濃度は高いこともカナダの5か所の原発の測定データで判明している。、、、原発からの距離が近いほど大気中のトリチウム濃度が高いことも報告されており、多くの報告で小児白血病が多いことが(世界で)共通している。」
西尾医師はまた北海道の状況に関しても著書『被曝インフォデミック』でこのように書いています。「北海道の泊原発周辺でも稼働後にがん死亡率の増加が観察されている。泊原発稼働後の2003~2012年の10年間のがん死亡が増加したのである。泊村と隣町の岩内町のがん死亡率は泊原発が稼働する前は道内179市町村の中で22番目と72番目であったが、原発再稼働後は道内で泊村が1位、岩内町が2位になった。ちなみに3位は2020年秋に使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処理場に応募した寿都町である。泊原発は過去25年間でトリチウム570兆Bqを海に捨てており、原発が面している岩内湾を囲む泊、岩内、寿都の3町村のがん死亡が増加しているのである。」
後志と北海道が核のごみの汚染から守られますようにと心から願っています。一度金に目がくらんでしまったら、半永久的にその代償を子孫が受け継ぐことになります。短期的な視野ではなく、長期的な視野で地域のことを考えることができますように。一度進んでしまったら取り返しのつかないことになります。その道の先にあるのは死です。また健康被害と病気です。「今さえ、自分たちさえ」よければというマインドから、「次世代たち、北海道全体」のことを考えるマインドを持つことができますように。死ではなく命を、病気ではなく健康の道を選択できますように。
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