何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。これが律法であり、預言者です。(新改訳聖書 マタイの福音書7章12節)
上記のイエスが語った言葉は、山上の説教のまとめ、キリスト教倫理の最高峰と言えます。そして、この命令は旧約聖書全体(律法と預言者)を要約したものです。1世紀のユダヤ教は律法の字句にこだわり過ぎて律法本来の精神を失ってしまっていましたが、イエスは律法本来の精神を回復させました。
このイエスが語った言葉は、一般的に黄金律と呼ばれています。イエス・キリストをとても尊敬していたローマ皇帝アレキサンダー・セヴェルスは、3世紀の始め、この言葉を金文字で自分の部屋の壁に掲げていました。まるでこれが「黄金律」であることを示そうとしたかのようでした。実際には、伝道者であるジョン・ウェスレーが1750年にこの聖書個所から「黄金律」という説教をして以来、この有名なイエスの言葉は「黄金律」と呼ばれるようになりました。
もともとはキリスト教用語でしたが、今ではビジネスの世界などでもよく使われるようになっています。「成功哲学」で有名なナポレオン・ヒルは「成功」をこのように定義しています。「成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標(願望)を、黄金律に従って一つひとつ実現していく過程である。注:黄金律・・自分がして欲しいと思うことは、率先して他人にもそうしてあげること」 ここでの黄金律はイエスの言葉と同じものです。
ちなみにシルバー(銀)ルールは、「自分にしてもらいたくないことは、他人にもしてはならない」というものです。これは他人に関わらないことによって守り実行することができます。しかしゴールデンルール「自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。」は他の人に積極的に関わらないと守り実行することができません。これが大きな違いです。
まさにイエスが語った黄金律の言葉は全人類に絶大な影響を及ぼしています。もしも全世界の人々がこの黄金律を実践し始めれば、より良い世界が築かれていくでしょう。これは家庭でも、会社でも、どこでも自分がいる場所で実践できる素晴らしい教えです。
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