何という驚くべき恵み! 私のような惨めな者を救ってくださるとは!(讃美歌アメイジング・グレイス)
アメイジング・グレイスは讃美歌の中で最も有名な曲と言っても過言ではないでしょう。この曲の作詞は18世紀イギリスでジョン・ニュートン牧師によって書かれました。
英語の一番の歌詞は以下の通りです。
Amazing grace!
That saved a wretch like me!
I once was lost but now I am found
Was blind, but now I see.
いろいろな日本語訳がありますが、私の訳はこうなります。
何という驚くべき恵み!
私のような惨めな者が救われるとは!
私はかつて失わていたが、今は見い出されている
かつては盲目だったが、今は見える
ジョン・ニュートンは自分の人生になされた驚くべき神の恵みに感動して、感謝しつつこの讃美歌を書きました。Grace(恵み)とは、本来祝福を受けるに値しない者に注がれる神の愛のことです。
ジョン・ニュートン(1725年–1807年)
彼の人生に逆転が起こりました。以前は黒人の奴隷貿易に関わり、黒人をひどく扱っていましたが、転機が訪れました。彼の乗っていた船が嵐に遭い、船体は損傷し、破損した船体の部分から海水が流れ込み、ついには転覆しそうな危機に陥ったのです。いのちさえ危うくなりました。彼は人生で初めて神に真剣に祈りました。絶望的な状況が長い時間続きましたが、彼の祈りは答えられ、強風が次第に弱まり、浸水もおさまっていったのです。沈没の危機から救われました。後に良心の呵責を覚えて、黒人の奴隷貿易から身を引きます。そして自分を救い出してくださった神に仕えるために牧師になりました。
彼の体験がアメイジング・グレイスの歌詞にあらわれています。「自分のような黒人を酷く扱っていた者が救われた。かつては神の前に失われていたのに、今は神に見出された。かつては何も見えていなかった、神を知らなかった。でも今は見える、神を知っている。」
ジョン・ニュートンは多くの人々へ影響を与えましたが、その内の一人がイギリスにおける奴隷制度廃止運動の指導者となったウィリアム・ウィルバーフォースです。
今、アメリカで黒人がひどい扱いを受けているニュースを私たちは見ています。アメイジング・グレイスを聞く人と歌う人が、この曲が生み出された背景を知って、人種差別をなくす方向へと進むようにと願っています。
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