聖書に悪魔、悪霊への言及は約80回あります。それに対して天使への言及は300回くらいです。幸い天使への言及の方が多いのですが、悪魔への言及もかなりあります。聖書は天使と悪魔を抜きにしては理解することができない書物です。前回に続いて今回も悪魔について書きました。
1)悪魔の起源は?
悪魔は最初から存在したのではありません。永遠のはじめから存在していたのは、三位一体の神だけです。悪魔は神に創造された被造物に過ぎません。神が悪魔を創造したのではなく、天使であったルシファーが高慢になり、神に反逆したたために、天から追放され、堕天使悪魔になってしまったのです。詳しくはこちらをご参照ください。(https://canaan.blog/lucifer/)
答え:神に反逆した結果、天から追放され、天使から堕天使悪魔になってしまいました。
2)悪魔はどのように呼ばれているか?
悪魔を表す最も一般的なギリシャ語は「ディアボロス」で、意味は「悪魔、敵対者、告発者」です。元々は、ルシファー(明けの明星)でした。星(天使)の中でも、最も輝く星でした(イザヤ書14章12節)。おそらく、神の次に位置する立場と名誉が与えられていたのではないでしょうか。しかし、自分の分を超えてしまい高ぶった結果、神に裁かれ落とされてしまい、悪魔となったのです。聖書の最後の書である黙示録には、悪魔への言及が多くあり、悪魔を理解する上では欠かすことができない書です。
黙示録20章2節にはこのように書かれています。彼(良い天使)は、竜、すなわち、悪魔でありサタンである古い蛇を捕らえて、これを千年の間縛り、 悪魔(サタン)は、竜、蛇と表現されています。聖書で竜と蛇は悪魔をあらわす時によく用いられています。
黙示録12章3節には、大きな赤い竜として登場しています。そして黙示録12章9節にはこのように記述されています。こうして、この巨大な竜、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれて、全世界を惑わす、あの古い蛇は投げ落とされた。彼は地上に投げ落とされ、彼の使いどもも彼とともに投げ落とされた。 悪魔は全世界を惑わす者です。昔も今もそれは変わりません。ルシファーが神に反逆した時、天で戦いが起こりました。その時に戦ったのは神ではありません。同じ天使であったミカエルがルシファーと戦い、勝利しました。そしてルシファーは天から地上に投げ落とされ、ルシファーに従った堕天使たちもルシファーと一緒に地に投げ落とされ悪霊となりました。
『堕天使を深淵に落とす大天使ミカエル』 ルカ・ジョルダーノ 美術史美術館(ウィーン)/1655年頃
また悪魔は蛇とも呼ばれています。聖書の一番最後の書は黙示録ですが、聖書の一番最初の書は創世記です。その創世記3章に蛇である悪魔が登場し、最初の人間であるアダムとエバをそそのかし、惑わしました。その結果、アダムとエバは悪魔と同じように、彼らも神に反逆し堕落してしまいました。罪と死がこの世界に入ってきてしまったのです。それ以来人類は不幸になりました。
他にも呼び名はいろいろありますが、代表的なものを紹介しておきます。
まずは試みる(誘惑する)者です。悪魔は最初の人間アダムを試みましたが、最後のアダムであるイエスをも誘惑しました。マタイの福音書4章3節にこのように書かれています。 すると、試みる者が近づいて来て言った。「あなたが神の子なら、これらの石がパンになるように命じなさい。」 イエスは「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる』と書いてある。」(マタイ4章4節)と聖書の言葉を用いて、悪魔の誘惑に勝利されました。アダムは誘惑に負けましたが、イエスは勝利されたのです。イエスの12弟子の一人であったユダも悪魔に誘惑され、惑わされたためにイエスを裏切ってしまいました(ルカの福音書22章3節)。
悪魔は、偽り者であり、偽りの父です(ヨハネの福音書8章44節)。偽りでこの世を支配しています(ヨハネの福音書14章30節)。ヨハネの手紙5章19節にはこのように書かれています。私たちは神に属していますが、世全体は悪い者の支配下にあることを、私たちは知っています。 悪魔は嘘と偽りでこの世を支配しているので、この世の神とも呼ばれています(コリント人への手紙第二 4章4節)。
答え:悪魔の呼び名として代表的なものは、竜、蛇、偽りの父、この世の神です。
3)悪魔は何をしているのか? 悪魔の目的は何か?
悪魔の目的は、神のご計画の邪魔をし、神の国の拡大を妨げ、サタンの王国を拡大させることにあります。彼はとにかく神になりたいのです。真の神のように礼拝されることを何よりも欲しています。「神のようになりたくないか」とアダムとエバを誘惑し、最初の人アダムとエバを堕落させましたが、今も「あなたは神のようになりたくないか」と人々を惑わし、真の神から離れさせようと働いています。
悪魔は基本的には悪霊どもを使って人を滅ぼそうとします。悪魔は悪魔と分かる形では人に近づいてはきません。光の天使のようにして人に近づいてきます。コリント人への手紙第二 11章14節にこのように記されています。サタンでさえ光の御使いに変装します。最初は光の御使いのようにして人に祝福を与えるようなふりをしてやって来ますが、最後には身の破滅を招きます。一時的には祝福されているように感じるかもしれませんが、悪魔に心を開けば、滅びへと向かうことになります。悪魔は自分が地獄へ行くことを知っているので、悪霊どもを使って自分たちと一緒に地獄へ行く道連れを増やそうとしているのです。
彼らは偽りを言います。この世の神ですから、あらゆる領域に入り込み、人々を惑わしています。特に主要メディアは、サタンの支配下にあることを覚えておくとよいでしょう。もし情報源のほとんどが主要なテレビと新聞だけであるなら、サタンの罠に嵌まりやすい環境に自分を置いていることになってしまうのではないでしょうか。
悪魔が一番嫌がることは、真理の言葉が語られることです。ですから、人々を福音から遠ざけようとします(コリント人への手紙第二 4章4節)。もし、ある人に聖書の言葉が入ってしまい、救いと自由を得てしまったなら、神の言葉への信頼をゆるがせ、疑わせ、奪い取ろうとしてきます(マタイの福音書13章19節、テモテへの手紙第一 4章1節)。アダムとエバに対して「神は本当に言われたのですか。」(創世記3章1節)と神と神の言葉に疑念を持つように働きかけてきたのです。天使にも階級がありますが、悪魔の世界にも階級があり、彼らには人を滅ぼすための戦略と策略があります(エペソ人への手紙6章11,12節、コリント人への手紙第二 2章11節)。
悪霊どもは、人の体に取りつこうとします。そして、体と心を支配しようとします。悪霊につかれて精神に異常をきたすケースが聖書に書かれています(マタイの福音書8章28節)。悪霊は人の体を住まいとすることを好みます。このことを覚えておく必要があるでしょう。イエスが彼らから悪霊を追い出そうとすると、悪霊どもはイエスに豚の群れに入ることを願いました。イエスはそれを許可しました。彼らは人の体に入ることが許されなかったので、豚の体に入ることをイエスに懇願したのです(マタイの福音書8章31,32節)。イエスの働きで顕著であったものの一つは、悪霊追い出しです。夕方になると、人々は悪霊につかれた人を、大勢みもとに連れて来た。イエスはことばをもって悪霊どもを追い出し、病気の人々をみな癒された(マタイの福音書8章16節)。
悪霊によってもたらされる病というものがあります。イエスは、群衆が駆け寄って来るのを見ると、汚れた霊を叱って言われた。「口をきけなくし、耳を聞こえなくする霊。わたしはおまえに命じる。この子から出て行け。二度とこの子に入るな。」(マルコの福音書9章25節、)。すると、この子から悪霊は出て行きました。18年間病の霊につかれ、腰が曲がって伸ばすことができない女性がいましたが、イエスが祈ると彼女は悪霊の束縛から解放され、病が癒され、腰が伸ばせるようになりました(ルカの福音書13章11~13節)。悪霊につかれて口のきけない人がいましたが、イエスが悪霊を追い出すと、口がきけるようになりました(マタイの福音書9章32,33節)。
悪霊によってもたらされた精神病と病は、イエスによってしか追い出すことはできません。それは医者や精神科医ではなおすことができません。なぜなら、これは体と心の問題ではなく、霊的な問題だからです。日本はまだこの領域があまり開かれていません。しかし、このような問題は日本でも起こり始めています。海外の方が悪霊現象は顕著です。なぜなら、これは私の経験から来る見解ですが、光が当たっていないからだと思います。イエスの時代、イエスがある地域に来られると、闇に隠れていた悪霊につかれた人が出てきました。光が当たると闇が明らかにされます。光が当たると悪霊現象は増えます。悪魔は隠れて物事を運ぼうとしています。悪い事は夜、暗い中でするものでしょう。見つからないため、気づかれないためです。しかし、光であるイエスが来られると悪霊は隠れていることが出来ません。イエスは彼らから悪霊を追い出し、解放し癒してあげたのです。同じことがイエスの弟子たちを通してもなされましたし、現代も世界の各地で展開されていることです。日本では、まだ十分に聖霊が働かれていないので、闇が暴かれていない状態です。残念ながら悪霊が隠れていることができるのです。しかし、段々とこの状況も変わっていくと期待しています。その兆しは少し見えているように感じることもあります。まだ海外と比較すると及びませんが。
答え:悪魔の目的は、人間を滅ぼすこと、人生を破滅させることです。
4)悪魔の運命は?
悪魔は天での戦いに敗北し、天から追放され(黙示録12:7~9)、エデンの園で呪われ(創世記3:14,15)、荒野で誘惑に失敗し(マタイの福音書4:1~11)、十字架で打ち負かされました(Ⅰヨハネ3:8)。今は一時的に神によってこの地上で活動することが許されています。しかし、神の時が来たら、すなわちイエスが再臨されたら、悪魔は底なしの穴に閉じ込められ、火と硫黄の中(地獄)に投げ込まれます。彼らを惑わした悪魔は火と硫黄の池に投げ込まれた。そこには獣も偽預言者もいる。彼らは昼も夜も、世々限りなく苦しみを受ける(黙示録20章10節)。
答え:最後に悪魔は神によって地獄に投げ込まれます。
5)サタンと悪霊の影響を受けないために気を付けるべきことは?
まずは悪魔の存在を認めることが大切です。存在を認めなければ、対処することができません。イギリスの作家で『ナルニア国物語』の著者C.S.ルイスは『悪魔の手紙』(この本は先輩の悪魔が後輩の悪魔に向けて、いかにしたら人間をだませるかということを手紙で書いている内容になっています)でこのように書いています。「悪魔に関して人間は二つの誤謬に陥る可能性がある。その二つは逆方向だが、同じように誤りである。すなわち、その一つは悪魔の存在を信じないことであり、他はこれを信じて、過度の、そして不健全な興味を覚えることである。悪魔どもはこの二つを同じくらい喜ぶ。」 すなわち、人間が悪魔の存在を信じないなら、悪魔の戦略は成功したことになるのです。
ペテロの手紙第一5章8節にこのように書かれています。身を慎み、目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、吼えたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っています。私たちは敵である悪魔が実在し、人間を食い尽くそうと、滅ぼそうと、破滅させようと獲物を求めて探し回っている事実に気づき、目を覚ましていなければいけません。孤立することは危険です。群れからはぐれて一人でいる動物がライオンに狙われるのです。ですから群れること、教会に集うことは身を守ることになります。悪魔は人間よりも長い年数生きています。神のように全知全能ではありませんが、人間よりは知識と知恵があります。ですから自分の力で勝とうとするなら、失敗するでしょう。アダムとエバのように。しかし、イエスを模範にして、聖書の言葉によって対処していくなら勝利することができます。
悪魔の力を認めるが、過大評価はしないこと。しかし逆に、過小評価もしないことが大切です。終わりの時代が近づいている今、悪魔は自分の時が短いことを知って、活動が活発化しています。ですから、油断することなく用心し、足場を与えないこと、自分の心への侵入通路を塞ぐこと、悪魔に機会を与えないことです。怒っても、罪を犯してはなりません。憤ったままで日が暮れるようであってはいけません。悪魔に機会を与えないようにしなさい(エペソ人への手紙4章26,27節)。また神が与えてくださっている武具を身に着けることが大事です。悪魔の策略に対して堅く立つことができるように、神のすべての武具を身に着けなさい(エペソ6章11節)。具体的には、真理の帯、正義の胸当て、福音の備え、信仰の盾、救いのかぶと、御霊の剣(神のことば)、祈りです(エペソ6章12~18節)。
答え:悪魔が実在し、人間を滅ぼそうと活発に活動していることを認めることです。
6)悪魔に勝利する秘訣は?
イエスが悪魔に勝利されたことを確信することです。悪魔のわざを打ち破るために、神の御子が現れました(ヨハネの手紙第一 3章8節)。イエス・キリストは悪魔のわざを打ち砕きました。イエスの弟子である使徒たちはイエスの働きを引き継ぎ、悪霊を追い出しました。
2000年前にイエスと使徒たちが悪霊を追い出したので、悪霊はいなくなってしまったのでしょうか。そうではありません。悪霊はまだ滅んでいません。滅ぶのは世の終わりの最後です。現代においては、活動することが神によって許可されています。今は惑わしの時代であると言えます。騙されないために霊を見分ける賜物や能力がますます重要になってきています(Ⅰコリント12章10節)。スピリチュアルなもの、霊的なものを全て信じてはいけません。なぜなら、良い霊である聖霊の働きがある一方で、悪い霊である悪霊によるものがたくさんあるからです。霊をすべて信じてはいけません。偽預言者がたくさん世に出て来たので、その霊が神からのものかどうか、吟味しなさい(ヨハネの手紙第一 4章1節)と書かれている通りです。
オカルト、サタン礼拝、降霊術、占星術、魔術、タロット、呪術、霊媒、まじない、偶像崇拝などを通して、人の心に入り込もうと悪霊は躍起になっています。聖書は降霊術や占星術、魔術などを禁じています。なぜでしょうか? それらが悪霊に足場を与えることになり、悪霊がその人の人生に介入することを許可することになってしまうからです。そうなってしまったら、悪霊の影響を受け始めます。はじめは隠されていますが、次第に大きくなっていくでしょう。悪霊の問題は、病院や精神科では解決することはできません。なぜなら、これは体と心、精神の問題ではなく、霊的な問題だからです。
キリスト者と教会にはイエスからイエスの権威が与えられています。信じる人々には次のようなしるしが伴います。すなわち、わたしの名によって悪霊を追い出し、(マルコの福音書16章17節) イエスを救い主と信じている人は、イエスの御名によって悪霊を追い出すことができます。しかし、信仰(祈りと断食)が求められることがあります(マタイの福音書17:19~21)悪霊の影響で苦しんでいる人を解放できるのは、イエスのお名前だけです。それ以外のものを悪霊は恐れません。
またこうも書かれています。神に従い、悪魔に対抗しなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げ去ります(ヤコブの手紙4章7節)。まず悪魔に対抗する前に、神に従わなければなりません。神への従順と神の言葉である聖書への従順が大切です。そして十字架で流されたイエスの血です(黙示録12章11節)。
答え:悪魔に勝利する秘訣は、イエスのお名前、イエスの血、神の言葉です。
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