映画「ロード・オブ・ザ・リング」最後の3作目は「王の帰還」です。1作目は「旅の仲間」(参考:https://canaan.blog/lord-of-the-rings/)、2作目は「二つの塔」(参考:https://canaan.blog/two-towers/)でした。白の魔法使いガンダルフとホビット(小人族)のピピンはゴンドール王国の都ミナス・ティリスに到着し、冥王サウロンの攻撃が迫っていることを告げます。
ミナス・ティリスは20万を超えるオークの悪の軍隊に包囲されてしまいます。モルドール軍はミナス・ティリスの門を打ち破りますが、助けに来たローハン軍(ホビットのメリーもいます)によって何とか切り抜けます。そして更に人間アラゴルン、エルフのレゴラス、ドワーフのギムリたちも戦いに加わります。ゴンドール兵やセオデン王に率いられたローハン兵、そしてアラゴルンたちの連合軍で、大きな犠牲を出してしまいますが、何とか防ぎました。しかし、サウロンが再攻撃してくるのは確実であるため、ガンダルフとアラゴルンは、ホビットのフロドとサムが冥王サウロンの眼に見つからずに滅びの山に無事たどり着いて、「指輪」を炎で溶かして破壊できるように、サウロンが住むバラド=ドゥア塔の黒門を攻撃し、モルドール軍を引きつける陽動作戦を決行します。
フロドとサムはモルドールの荒野を進んで行きます。オーク軍に遭遇しますが、オークの服を着て偽装し何とか逃れます。指輪からサウロンの注意をそらそうとするガンダルフたちの計画は上手く行き、モルドールはほぼ空となり、オークのほとんどはガンダルフとアラゴルンが率いる軍に対峙するために出払っていました。厳しく危険な旅の後、フロドとサムは滅びの山にようやくたどり着きました。フロドは指輪を滅びの山(炎の中)に投げ込もうとしますが、最後の最後でなんと、「指輪」の力、罪と悪の誘惑に屈し、「指輪」を自分のものにしようとします!サムが捨てるように何度叫んでもフロドは言うことを聞きません。その時、フロドとサムをつけていたゴラムが、フロドを襲い、指を噛みちぎって指輪を奪いました。長い間ずっと求めていた指輪をついに取り戻したゴラムは歓喜しますが、バランスを失って指輪と共に炎の中に落ち、死んでしまいました。
聖書に書かれています。罪からくる報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。(ローマ人への手紙6章23節) 善人と思われていた主人公フロド、自分にはできると思っていましたが、結局はフロドも指輪の力の前では、無力でした。自分では罪の力に勝つことはできなかったのです。救いは恵みです。神の介入がなければ、人は救われることができません。宗教は神に到達しようと下から上へ向かって努力します。しかし、フロドに見ることができるように、人間は弱く不完全であるため、自分の力では指輪(罪)を捨て去ることは決してできないのです。しかし、キリストは人間にできないことをしてくださいました。神であるキリストが人を救うために、上から下へ、すなわち天から地へ降りて来てくださったのです。人を救うために人間の赤ちゃんとしてお生まれになられました。それがクリスマスのメッセージです。救いは神の力によってなされました。だから恵みなのです。
指輪はついに破壊され、中つ国はサウロン(悪魔)の支配から解放されました。滅びの山は爆発し、フロドとサムは溶岩に囲まれ死にそうになりますが、ガンダルフが送った大鷲に危機一髪助けられます。サウロンの破滅により、モルドールの黒門からオーク(悪)の軍は滅びました。「二つの塔」ではサルマンの本拠地であったアイゼンガルドにそびえていたオルサンク塔が倒れ、「王の帰還」では冥王サウロンの本拠地であったモルドールのバラド=ドゥア塔が倒れました。このようにして善(神)と悪(悪魔)の戦いは終わりました。神が悪魔を討ち滅ぼしたのです。フロドとサムは、「旅の仲間たち」と再会します。そして名誉を受けました。
かつてサウロンを倒したイシルデュアのまつえいである人間アラゴルンはミナス・ティリスで「ゴンドール王」としての戴冠式に臨みます。フロドがいにしえのゴンドールの王冠を運び、ガンダルフがアラゴルンの頭に「王冠」を置きました。そして、エルフのエルロンドの娘アルウェンと結婚式を挙げます。
世界を滅ぼす「指輪」(罪)を葬り去るという使命を果たしたホビットたちは、旅の仲間たちと別れのあいさつを交わし、久しぶりにホビット庄に帰りました。メリーとピピンはそれぞれバック郷とトゥック郷を立派に治めます。サムは長く想っていたロージー・コトンと結婚し、娘が与えられます。フロドは敵に刺された傷、指を失った傷から完全に回復するはありませんでした。
ついにフロドはホビット庄に戻ってからずっと悩んで考えていたことを実行に移します。彼は、ガンダルフ、叔父のビルボ・バギンズ(元々は彼から指輪を譲り受けていた)、そして多くのエルフたちと共にエルフの国へと旅立つことを決心します。ホビット庄がすでにフロドの故郷ではなくなっていたのです。彼は旅を通して、人生観と価値観が全く変えられてしまっていました。エルフたちが持つ不死性に、永遠性にあこがれを持つようになっていたのです。
聖書にこのように書かれている箇所があります。しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。事実、神は彼らのために都を用意しておられました。(へブル人への手紙11章16節)
メリー、ピピン、そしてサムは、フロドがガンダルフ、ビルボ、そしてエルフたちと一緒に故郷(天国)へと旅立つのを見守ります。指輪(罪)を捨てるために、旅立つことによって物語が始まりましたが、永遠のいのちを得るために、エルフの国(天国)へ旅立つことによって物語は終わります。
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